私の仕事レポート

ZRトレモロの設計開発

卓越したトーンと快適性によって世界中のトップ・ミュージシャンから厚い支持を集めてきたエレキギターの“S”シリーズ。この全モデルに搭載されているZRトレモロ・ユニットという部品は、私が入社して初めて設計開発を担当した商品です。発端となったコンセプトは、従来のロック式トレモロの弱点克服。これを基に企画会議が開かれ、各部署からフィードバックされた意見を参考にしたり、自分で実際に市場調査を行ったりしながら、目指すべき方向性を見極めていきました。

ここにある数々の試作品は、試行錯誤の跡を物語っています。最も苦労したのは、プレイヤーが置かれるであろう様々な状況に対応できるようにするという点です。そのためにはきっちりとした数字や図面上だけで決めてしまわず、メーカー側の誤差を考慮に入れるなどファジーな部分を作っておいて、試行錯誤を繰り返す中で調整していくという作業が必要でした。

こだわりを持って作っていると、機構が精密になり過ぎたり部品が多くなり過ぎたりすることが多いのですが、そうするとこの調整が難しくなりますし、実際の量産には不向きな物になってしまいます。

いよいよ仕様が決定し、メーカーに製造工程や構造を説明するための組み付け図を作成します。

中国にある工場での初回生産の様子です。自分が担当した商品の初回生産には必ず立ち会い、仕様や品質を目で見て確かめます。

ZRトレモロの搭載により新たな価値が付加されたSシリーズと、それを紹介する商品カタログです。企画構想から2年半をかけて取り組んできたものが形になり世界中の市場に送り出されたときには、大きな充実感を味わうことができました。